「ライフタイム」と「レポーティング期間」の違いについて
ソーシャルメディアの分析において、同じ「インプレッション」や「リーチ」といった分析指標(KPI)でも、「いつ」「どの単位」で集計するか によって数値の見え方が異なる場合があります。 本記事では、Statusbrewが提供する各種メトリクスの基本ルールと注意点を整理します。
また、「どの指標がライフタイムで、どれがレポーティング期間か?」は、ウィジェット作成画面や右上の「i」アイコン から確認できます。Statusbrewのレポートには「ライフタイム」「ローカル」「PT」「UTC」といった表記があり、集計ルールや基準タイムゾーンを示しています。
レポートのデータ選択期間(Reporting Period)とは?
レポーティングピリオド(Reporting Period)とは、ソーシャルメディアのパフォーマンスを特定の期間に絞って分析するときに設定する日付範囲のことを指します。
この期間を設定することで、インサイトや分析指標は 「その期間内に発生したアクティビティ」 を反映します。
Lifetime と Reporting Period の違い
投稿単位(Post metrics)= Lifetime 値 投稿ごとの数値は、その投稿が公開されてからの累積合計を表示します。日付範囲は「どの投稿を表示するか」には影響しますが、個々の数値そのものは変わりません。

プロフィール/ページ単位(Profile/Page metrics)= Reporting Period 値 アカウント全体の数値は、指定した日付範囲内に発生したアクティビティデータのみを集計する方法です。
例:月曜日に投稿を公開し、日曜日までに合計344のリアクションを獲得したとします。レポーティングピリオドで週全体を選択すると、月曜86、火曜71…といったように、各日のリアクションを分解して確認できます。合計は344になります。

観点 | Lifetime(投稿単位) | Reporting Period(プロフィール単位) |
---|---|---|
計算対象 | 投稿公開依頼の累積 | 指定した期間に発生したアクティビティのみ |
数値の変動 | 常に増え続ける(各チャネルの | 投稿公開日にまとめて表示 |
データの見え方 | 日付ごとに分布して表示 | 投稿公開日に集約して表示 |
データの特徴と傾向 | * 静的なデータセット * 特定期間における傾向や比較に最適 | *動的なデータセット |
2. 図解で理解する
同じ「インプレッション」や「リーチ」という指標でも、レポーティング期間 と ライフタイム では集計方法が異なります。 下記の図解でイメージをつかんでください。
レポーティング期間のイメージ
レポーティング期間では、選択した日付範囲の中で実際に発生したアクティビティ だけがカウントされます。 例えば「8月1日〜8月31日」を選んだ場合、その期間中に発生したインプレッションやエンゲージメントのみが反映されます。投稿がいつ公開されたかは関係ありません。
📊 図:「Reporting Period – Selected Date Range」

ライフタイムのイメージ
ライフタイムでは、その投稿が公開されてから発生したすべてのアクティビティ が、投稿日に帰属して集計されます。 つまり、期間を狭めても投稿ごとの数値は変わりません。過去の反応も含めて「累積値」として表示されます。
📊 図:「Lifetime – Publishing Date Attribution」 (すべてのエンゲージメントが、その投稿の公開日にまとめて表示されるイメージです)

3.よくある疑問
Q. どこで「ライフタイム」かどうか確認できる?
各メトリクスが ライフタイム集計なのか、レポーティング期間に依存するのか は、下記2通りから確認いただけます。
①ウィジェット作成画面

②レポートの右上にある ℹ︎ アイコン(詳細)

指標ごとに以下のようなラベルが表示されます
ライフタイム:投稿日に帰属する累積値
ローカル:アカウントのタイムゾーンに基づく(例:Instagram)
PT:Pacific Time(例:Facebook、Meta系)
UTC:協定世界時(例:LinkedIn、Twitter/X)
👉 つまり、「ライフタイム」と明記があるかどうかで、投稿単位の累積値か、期間依存の値かを判断できます。
Q. 「PT」「UTC」などのラベルは何を意味する?
これらは データの集計に使われるタイムゾーン基準 を示しています。 レポーティング期間で日付を選択した場合、実際にどのタイムゾーンで区切られているかを理解する必要があります。
Facebook / Meta系 → PT(Pacific Time, 太平洋時間) → 世界標準でMetaが提供しているデータはPT基準で日付が区切られます。
LinkedIn → UTC(協定世界時) → 国や地域に関係なく、全てのデータがUTC基準で集計されます。
Instagram → ローカルタイム(アカウントごとの設定地域の時間帯) → 例えばアカウントが「日本時間(JST)」に設定されていれば、レポートの日付範囲もJST基準になります。
Twitter/X → UTC → グローバルに共通で、UTC基準での集計となります。
Q. なぜタイムゾーンが重要なの?
レポーティング期間を「8月1日〜31日」に設定しても、
Facebookでは「PT基準の8月1日〜31日」
LinkedInやXでは「UTC基準の8月1日〜31日」
Instagramでは「アカウントローカル基準の8月1日〜31日」
というように、サービスごとに「日付の切り替わり」が異なるためです。 この違いによって、特に国際チームや複数チャネルの比較を行うときに、数値のズレを感じるケースがあります。
👉 数字が「思ったより合わない」と感じるときは、このタイムゾーンの違いが要因になっている可能性が高いです。
4. レポーティングピリオドの変更方法
レポート画面の右上にある「期間範囲を選択」をクリック。
カレンダーが表示されるので、希望の期間を設定し、「適用」をクリックすれば変更完了です。
期間のオプション
昨日
過去7日間
過去30日間
今月:現在のカレンダーの1日からその日までが対象
先月:前の月1ヶ月が対象
カスタム:期間
を自由に設定可能
比較期間
レポートでは、異なる期間のデータを比較することも可能です。
先行:選択した期間と同じ範囲の直近の期間(例:直近7日間を選択した場合、その前の7日間と比較します)で比較します。デフ
ォルトでは先行に設定されています。
カスタム:自由に希望する期間を設定し比較します。フレキシブルに設定できるため、必要に合わせた的確な内容のレポートを入手できます。
年や月を変更する場合は、 や、 をクリックしてください。
比較期間を設定しない場合は、デフォルトでチェックを外してください(デフォルトではチェックが入っています)。
5.実務上の注意点
ライフタイム値は常に変化します
投稿が公開された後も、新しい「いいね」やコメントが追加されるため、ライフタイムの数値は時間の経過とともに増加していきます。 そのため、同じレポートを再実行しても、前回と数値が異なる場合があります。
レポート作成のタイミングに注意
例えば、1月の投稿に関するレポートを2月1日に作成し、その後2月5日に再実行したとします。 この間に2月2日〜5日に発生した「いいね!」が加算されるため、2月5日に再実行したレポートの数値は2月1日時点のレポートよりも大きくなります。 正確な前月比を得たい場合は、毎月同じ日にレポートを作成することをおすすめします。
平均値の算出方法
Statusbrewでは投稿ごとの平均値を算出する際、ライフタイム方式を採用しています。 これは「分母=その期間に公開された投稿数」が明確なため、意味のある平均値を得やすいからです。 一方、レポーティングピリオドを使うと、分母が「過去すべての投稿数」となってしまい、実用的な平均値にならない場合があります。
フィルタリングの柔軟性
ライフタイムデータは、リールのみ・オーガニックのみ・動画投稿のみ など、条件を指定してフィルタリングすることが可能です。 これにより、特定のコンテンツタイプや配信方法に絞って分析できます。
古い投稿がバイラルした場合
過去に公開された投稿が後から拡散されても、その投稿が日付範囲に含まれていなければ、レポーティングピリオドでは数値に反映されません。 一方、ライフタイムを利用すると、投稿日に帰属した形で累積アクティビティとして計上されるため、急激な拡散や再評価された投稿の動きも把握することができます。