炎上リスクマネジメントをしたいと思いつつも、何から始めていいのか分からない、リソースが限られている、世にある炎上対策は一般的すぎて自社のニーズと合わない。このようなお悩みはありませんか?
オンライン上での炎上は、企業や個人にとって大きなリスクとなっています。炎上を防ぐことはブランドの価値を守る上で非常に重要な課題です。しかし、炎上リスクに対する予測と対策は容易ではありません。そこで、本ブログではオンライン炎上リスク対策の第一歩である炎上リスク分析レポートをご紹介します。
炎上リスク分析レポートとは?
炎上リスク分析レポートとは、ウェブサイトやソーシャルメディア上での炎上の種と成り得るリスクを分析し、それに関する詳細な情報、数値化した炎上リスクの可能性をまとめたレポートです。炎上は、特定のトピックや人物に関連する議論や批判がオンライン上で拡散される現象であり、その影響力は非常に大きく炎上を防ぐことはブランドの価値を守る上で非常に重要です。炎上リスク分析レポートは、SNSの炎上対策の第一歩となります。
炎上リスク分析レポートの内容
リスクアセスメント表
ハイリスクなデータの量
リスクの内訳
SNS運用の評価
モニタリングと改善策 など
役割と目的
リスク特定:潜在的な炎上の原因やリスク要因を特定し、明確なリストとして整理します。
リスク評価:各リスクの発生確率と影響度を評価し、重要度の高いリスクに対策を置きます。
対策立案:特定されたリスクに対する具体的な対策と予防策を策定します。
予防と対応:リスクを未然に防止するための手法と、炎上が発生した際の適切な対応策を提案します。
モニタリング:炎上リスクを監視し、状況に応じて対策を更新・改善するための指針を提供します。
炎上対策リスク分析レポート作成のステップ
リスクアセスメント
リスク因子にスコアをつける
ルールエンジンを設定 or 投稿監視体制を構成
データを集計
分析・レポート作成
ステップ1:リスクアセスメント
リスクアセスメントとは、潜在的なリスクを特定し、リスクが発生した際に何が起こり得るか、どれくらいの可能性で起こりうるのかを分析し、リスクを評価するプロセスの事です。リスクアセスメントを行うことで、炎上リスクに対する解像度が上がり、効率的に、優先順位をつけてそれぞれのリスクに対策することが可能になります。
リスクアセスメントのステップ
1. 潜在的なリスクを特定する Identity
2. 各リスクの可能性と影響を分析する Analyze
3. リスクを評価して優先順位をつける Evaluate
潜在的なリスクを特定する
リスクアセスメントの第一歩として、リスク特定から始めましょう。SNS運用をしていく中で、どんな炎上リスクが考えられるでしょうか?そもそも何が原因で炎上が起こるのでしょうか?
炎上の原因はソーシャルメディアの運営が原因で炎上する場合と、ソーシャル以外での企業の言動がソーシャルに飛び火する場合の、2つに大きく分かれると考えられます。
ソーシャルメディアの運用が原因で炎上する場合
問題のある投稿(薬事法違反、差別的、配慮不足)
個人のアカウントと間違えて企業アカウントで投稿
内部告発 など
ソーシャル以外での企業の言動がソーシャルに飛び火する場合
企業や経営陣の不祥事など
クレーム
ネガティブなフィードバック など
→ ソーシャルリスニング、コメント監視で防止
これら2つの軸に沿って炎上リスクを書き出してみましょう!
各リスクの可能性と影響を評価する
リスクを書き出せたら、次はそれぞれのリスクの可能性と影響を分析しましょう。
リスクが発生する可能性はどれくらいあるのでしょうか?また、発生した場合どれほどの被害を被るのでしょうか?
今回の例ではそれぞれ4段階で分類してみました。
リスクが発生する可能性
有り得ない:管理プロジェクト試行中にほぼ起こりうることがないと判断できる
可能性あり:管理プロジェクト試行中に1度は起こりうる
有り得る:1年に1度未満の可能性
ほぼ確実:1年に2回以上、繰り返し起こりうる
発生した場合の影響
軽微
中程度
重大
大惨事
リスクを評価して優先順位をつける
リスクアセスメント表を使って、発生確率と影響度を評価して、リスク対策の優先順位を可視化します。そうすることで、リスク管理がしやすくなります。そして、そのリスクアセスメント表を元にして、リスクの軽減策やリソースの配分を決定することができます。
リスクを評価し、優先度をつける方法はいくつかありますが、今回はリスクスコアを計算する方法と、マトリクス法をご紹介します。
リスクスコアを計算する方法以下は、リスクを計算するためのいくつかのガイドラインです。
リスクスコア=リスクの発生確率×損失の大きさが基本公式です。
リスクの発生確率の計算方法の例 - Occurance
・高確率 - (80 % ≦ x ≦ 100%)
・中高確率 - (60 % ≦ x < 80%)
・中低確率 - (30 % ≦ x < 60%)
・低確率(0%<x<30%)
一般に、すでに発生している(過去にした)リスクは100%と計算します。
リスクによる損失の大きさの例(影響度) - Impact
高 - 大惨事(評価A - 100)
中 - 重大 (評価 B - 50)
低い - なし(評価C - 10)
リスクスコア - Risk Score
リスクスコア = リスクの発生確率(Occurrence) × 損失の大きさ(Impact)
リスクスコアは、「リスクの影響度のスコア」と「リスクの発生確率」を掛け合わせた分析結果です。 これは、万が一発生した際に、意思決定できるようにするための定量的な数値です。
実際に計算してみましょう。例えば、発生確率が中高確率(60%)で、損失の大きさが重大(評価B - 50)である場合、リスクスコアは以下のようになります。
リスクスコア = 0.6(発生確率60%) × 50(損失の大きさ - 評価B)
リスクスコア = 30
リスクスコアは数値で表現されるため、リスクの優先順位を数値化しやすく、リスク管理の際に各リスクの重要度を比較しやすくなります。この数値をもとに、リスクの軽減策やリソースの配分を決定することができます。
マトリクス法マトリクス法では、リスクの発生確率と損失の大きさが横軸と縦軸に沿って示され、それらの交点がリスク評価を示します。リスクを数値化するのではなく段階で分けるため、リスクスコアを計算する方法に比べ、より簡潔な結果を得ることが特徴です。視覚的に理解しやすいこともマトリクス法の特徴の一つと言えるでしょう。今回はこちらを例にあげています。
もちろん、すべてのリスクに対策を立てるのが理想ですが、限られた時間と予算の中で効率的に対処するために、優先順位をつけて対策していくことが求められます。
この際にリスク因子も書き出しましょう。
ステップ2:リスクの因子にリスクスコアを付ける
炎上リスクを特定し、リスク対策の優先順位がつけられたら、次は炎上リスク因子にスコアをつけましょう。それを計算する事によって、炎上する危険性がどれほどあったのかを示す炎上リスクポイントを計算する事が出来ます。
例えば、薬事法に違反する投稿が作成されたら10pt、ユーザーからネガティブなコメントがつけられたら8ptなど。炎上リスクの種にスコアをつけます。それを集計する事によって、炎上する可能性がどれほどあったのか、どこを強化して対策しなければいけないのかを分析する事につながります。 前月比を出せば、リスク対策の結果を可視化することもできます。
ここで、炎上リスクアセスメント表、炎上リスクスコア、炎上リスクポイントのおさらいをしましょう。
リスクアセスメント表
→どこを監視するか・リスク対策の優先度・リスク対策の戦略を可視化するために使用。
リスクスコア
= 発生確率(Occurrence) × 損失の大きさ(Impact)
対策の優先順位を付ける為に使用。
リスクスコアは数値で表現されるため、リスクの優先順位を数値化しやすく、リスク管理の際に各リスクの重要度を比較しやすくなります。この数値をもとに、リスクの軽減策やリソースの配分を決定することができます。
より引用
炎上リスクポイント
炎上リスクの種をスコアリング→炎上する可能性がどれほどあったのか・リスクを数値化・リスク対策の評価
リスク因子スコア × 実際に発生した数=炎上リスクポイント
ステップ3:ルールエンジンを設定し投稿監視体制を構成
ここからは、実際に対策を実施していくステップです。ハイリスクなコメントや投稿を効率的に監視するために、ルールエンジンを設定しましょう。ここでは、Statusbrewのツールを使った投稿・コメント監視体制をご紹介します。
ハイリスクなコメントや投稿を
インバウンド(オーディエンス→SNS管理者 というコメントの流れ)
アウトバウンド(SNS管理者→オーディエンス というコメントの流れ)
で分類し、それぞれルールエンジンを設定します。
まずは、インバウンドのコメントを自動ツールで監視をし、タグをつけて管理をしましょう。
例えば、
「配送が遅い」「態度が悪い」のようなクレームに相当するコメントのリスク因子スコアが8の場合、リスク高 - 8のようなタグが付与されるように自動化します。
このタグづけされたコメントは自動で集計され、レポートのダッシュボードでタグごとのメッセージ数を期間ごと(曜日ごと、月間など)で以下のように確認できます。
次に、内部からのリスク投稿も毎月、または毎週どれだけあったかを洗い出します。
これもタグ機能を使うものですが、タグの付与先はコメントやメッセージというエンゲージメントではなく、投稿そのものです。投稿の承認フローで投稿内容に問題があり却下された投稿にタグをつけて管理することが可能です。また、有人の投稿監視だけでなく、自動の投稿監視エンジンを作成することも可能です。
例えば、薬事法(例えば「痩せる」「治る」)や広告の表示法に引っかかるようなキーワードを使ってしまったとします。このような不適切表現を用いたキーワードを含む投稿を作成した際に、その投稿を自動的に却下することが出来ます。それだけでなく、同時にタグを付与すること(タグ名例えば ハイリスク投稿 - 薬事法 -10)で、その投稿数も集計することが出来ます。
ステップ4:データを集計
リスクの指標を数値で把握するためには、データをしっかり集めることが大切です。
Statusbrewのツールでは以下のようなグラフを表示することができます。
集めたデータを元にして、リスク指数を計算します。タグのスコアを数値化して、それを数え上げることで炎上リスクポイントの総合的な評価ができます。
集めたデータを元に炎上リスク指数を計算します。
上のグラフを例に計算してみましょう。これは、新しいインバウンドメッセージ、投稿コメント、またはビジネス評価によって開始された会話(StatusbrewではコメントやDMなど1つのエンゲージメントのことを会話と読んでいます。)の総カウントを、タグ別に棒グラフにしたものです。
横に走る二本線は、一つ目を超えたら警戒、二つ目を超えたら危険のように独自に設定できる基準線です。
炎上リスクポイント=タグのスコア(リスク因子)×タグの数
インバウンドの炎上リスクポイント
10pt (赤)×9 + 5pt (橙) × 5+1pt (黄) × 1 + 0.5pt (青1~青5)× 32 = 132pt となります。
*補足
右側二つの青の棒グラフは、
・Comment deleted - 3件
・Comment Hidden - 2件
を表していて、危険なコメントの量だけでなく「最終的に何をしたのか」も計測することが出来ます。
ステップ5:分析し、定期的に見直し改善する
集計が終わったら、対策を立て、リスク分析レポートを作成しましょう。その際、リスクアセスメント表、炎上リスク因子の量、SNS運用の評価、モニタリングと改善策を内容に含めましょう。
また、リスク対策の効果の分析も行いましょう。前回の対策が効果的だったか、改善が必要な箇所はないかを見極めることが大切です。定期的に見直しを行い、さらなる改善を目指していきましょう!
炎上リスク分析レポートの例
ここまで、炎上リスク分析レポート作成のステップについて説明してきました。炎上リスク分析レポートの形式は自由です。下の画像は、サイバーリスクのレポートですが、他のリスクレポートも参考にしてオリジナルのレポートを作成するのも良いでしょう。
これが正解でなくそれぞれにあった炎上リスク分析レポートはありますが、レポートに必ず含めるべきデータは以下の通りです。
リスクアセスメント表
炎上リスクポイントの合計スコア(ハイリスクなデータの量)
リスク関与度の内訳・対策方法
これらの他に次のようなデータも含めるとより詳細なレポートになります。
データのグラフ
SNS運用の評価
モニタリングと改善策 など
Statusbrewの大きな特徴の一つはカスタマイズ機能です。自社オリジナルの分析をしたい、複数のプラットフォームを跨いでデータを集めたい、より細かな数値を抽出し綿密な計画を立てたい、といった際には遠慮なくご相談ください。
炎上リスク分析レポートはウェブサイトやソーシャルメディア上での炎上のリスクを詳細に分析するための重要なツールです。リスクアセスメント表やリスクスコアを活用し、優先順位をつけて対策を立てることが重要です。さらに、ルールエンジンを設定し投稿監視体制を構成し、データを集計して炎上リスク指数を計算することで、炎上対策の効果を定量的に評価できます。
Statusbrewのツールを活用して、炎上リスク分析レポートを作成し、炎上対策をより計測可能なものに、効果的なものにしていきましょう!お問い合わせもお待ちしております。