Localization(ローカライゼーション)

ローカライゼーションという言葉は、元はStatusbrewのような世界各国向けにソフトウェア製品を作成する際に、開発チームがよく利用する用語です。

日本語では「地域化」とも呼ばれ、製品、サービス、コンテンツをターゲット市場の言語や文化に適合させるプロセスのことです。

度々ローカライゼーション(Localization)の説明の際にインターナショナリゼーション(Internationalization)という用語も持ち出されます。

Globalization Layers (Phrase)

国際化は、あらゆる市場の文化的、言語的、または法的要件に適応できるグローバル対応の製品を構築することを目指します。地域化は、国際化された製品を取り、その内容(テキスト、画像、音声、色など)をターゲット市場での成功の可能性を最大化するために適応させます。

元々はソフトウェアという商品を開発販売するにあたって生まれた言葉ですが、現在ではどんな種類の商品やサービスに対しても戦略や販売までの工程の一つとして当たり前に用いられるようになりました。これがグローバル化が進み、どの国も自国消費ではなく世界中にブランド力を発信し、越境シッピングも相まって境界線なく商品やサービスを販売できるようになったからでしょう。

海外進出のためのローカライゼーション、どこまで必要?

単純に、そのターゲット国や地域での「最も早いアダプション」のために必須です。

英語圏の国で作られた製品やサービスで、英語圏の方であれば、訪問するウェブサイトや使用する製品のほとんどが英語である可能性が高いです。

しかし、世界の人口のうち、英語に堪能な人は20%にも満たないというのが実情です。つまり、ローカライズに投資しない限り、潜在的な市場の大部分はアクセスできないのです。

調査結果によると、76%の顧客が母国語で情報が提供された製品を購入することを好むことが判明しています。もちろん日本語で説明された商品ですから、日本国外の人が日本語を流暢に読めるし手に取れる、またはあなたの商品をすでに知っていて、商品の手に入れ方を検索しない限り、あなたの製品にリーチされることはありません。

同じ理由で、製品をローカライズするのと同じくらい重要なのは、ローカライズがうまくいっているかどうかです。そうでなければ、ローカライズされたバージョンは人工的なものに感じられたり、怪しく感じられたりするかもしれません。

なぜ日本は特にローカライズがないと難しい市場なのか?

外資企業が日本にローンチする際、ローカライズはほぼ間違いなく必要としています。

その理由はいくつかありますが、圧倒的な理由の一つは単純に「日本人は英語ができない」ことが共通の認識であるからです。

島国である日本は、近年では移民に関して国の門戸が広がりつつあり、徐々に国際化が進んでいるものの、日本人の英語力は極めて低いです。日本では、高等教育を受けた人でさえ、ほとんどが基本的な英語を理解するのがやっとです。実際、ETSによると、日本はアジアでTOEFL iBT英語能力試験のスコアが最も低い国の一つです。基本的に、日本語での表記などを含むコミュニケーションでなければ、日本では理解されません。

Localization

ローカライゼーションとはなにをするのか?

上記の説明からすると、「ただ単にその言語に翻訳すれば良い」と捉えらるかもれません。

実際にローカライゼーションとは企業がターゲット顧客との販売までのコミュニケーションを容易にするために行う内容全てを指します。

・ユーザーインターフェース(UI)要素 ・文化的参照(シンボル、アイコン、慣用句など) ・ 画像やグラフィック ・日付と時刻のフォーマット ・ 価格、通貨、支払い方法 ・測定単位 ・ 法律と規制の枠組み ・ブランディングとメッセージング* ・マーケティング・コンテンツ(ブログ記事、ランディングページなど)* ・プロモーション・チャネル(検索エンジン、ソーシャルメディア、有料広告など) ・ヘルプコンテンツ ・カスタマーサポート・チャンネル(ナレッジベース、チャットボットなど)‌‌

などを、修正することがローカライゼーションに含まれます。‌‌

ローカライゼーションを取り入れることで、企業は顧客とのコミュニケーションを改善し、ブランド認知度を高めることができます。言語や文化の違いにより、同じメッセージを効果的に伝えるためにはローカライズされたコンテンツが必要です。ローカライズすることにより、企業はグローバルな市場でより競争力を持ち、成長を推進することができます。‌‌‌‌‌‌

ソーシャルメディアマーケティングにおけるローカライゼーションを考える

では、ソーシャルメディアマーケティングを通して、ローカライゼーションを行うには具体的に何が必要でしょうか?

これはあなたの売りたい商品やサービスが、そのターゲット国にブランドは違えどすでに数多く存在しているもので、あとは競合の中からブランドとしての地位を確立することに注力するためのマーケティングなのか、そもそもそのターゲット国では存在していない、または市場で人々から受け入れられていないものをソーシャルを通して認知から開始したいのかで、意味合いは全く異なってきます。

例えば、インドでオーガニックな日本の緑茶をブランド化して売りたいと思います。

まずは自分たちのビジネスの価値観、サービスや製品としての目標、ブランディングを言語化することから始めましょう。この時点でおおよそ「自社と同じ程度にいるブランド」を発見することができます。

商品名やカテゴリーをGoogleやInstagramというソーシャルチャネルで検索すると、どんなブランドや会社がヒットするでしょうか。Instagram以外でもソーシャルメディアのチャンネルで、関連するハッシュタグやキーワードを検索すると、どんなものが出てきますか?

India Organic Green Teaと検索すると、

・いわゆる日本人が考える緑茶のティーバッグ形式のお茶

・グリーン茶葉のDtoCブランド

・インドのオーガニックブランドがパッケージングする様々な種類のハーブティー

・Machaブランド

が主にインターネット上、ソーシャル上で発掘できます。

この時点で商品のフレーミング、つまり「私が売りたいグリーンティー」の定義は、インドでは最もどれに近いか、どのように表現されているか?を明確にします。

自分の売りたい商品の説明方法がピタリと合致するキーワードで検索を続けます。

集めた情報をもとに、自社の製品に最も似ているブランドを最大10社までリストアップし、ターゲット顧客に比較可能な代替品を提示します。潜在的な直接の競合他社(同様の製品を同様の顧客に販売している企業)と間接的な競合他社(異なる製品を同様の顧客に販売している企業)を特定します。

できればソーシャルメディアのアカウントが良いでしょう。

ここの情報から自分たちがするべきローカライズの方程式を自分で導き出すのです。

Green Tea(緑茶)をインドで売っているインドや他国のブランドは、どのようなボキャブラリーを多用していますか?100語以上は共通点として書き出してみましょう。

またどんな用途で緑茶を飲んでいて、どのようなストーリーテリングを他のブランドは発信していますか?そこにタブーやNGは存在していそうですか?

ターゲットや国独自の文化を尊重したコンテンツ制作 こそ ローカライズである

ローカライズにおいて最も大切なのは、繰り返しになりますが「綺麗な英語にする」ことでは決してありません。

そのターゲット国や地域において、その国の人のパーソナリティ、生活様式、文化、歴史背景を尊重したコンテンツになっているか?を考えることこそがローカライズなのです。

クリエイティブ制作の前に、現地ローカルマーケターを外注するなどして、チェック作業を入れてもらうか、競合のアカウントをみて、あなたが考えていたものが一切掲載されていない場合なんらかの理由があります。

もしかして私が発信しようとしていることは何かoffensiveになる要因はないか?は、例えば多くの世論が集まるRedditやQuoraのような掲示板型ソーシャルで検索かけてみるのも良いでしょう。

今回の例のような、インドのような宗教に紐付いた文化形成が色濃くある国においては、日本人では気づかないようなタブーも存在します。宗教上で尊敬されている神様や、国や組織、家族において尊敬されるべき立場の人を軽視するようなクリエイティブでないかは、インド人ローカルの目線での確認を推奨します。 タブーを覆すコンテンツ(Mythbusters)で、ソーシャルメディアでイニシアティブを獲得するアカウントも複数存在しますが、必ずローカルによるレビューを入れましょう。このローカルレビューが難しい場合は、そのターゲット国に詳しい日本のマーケティング代理店などに依頼するのも良いでしょう。

インドに上陸したベビーケアブランドの事例から考える

ここで海外市場の一つであるインドに進出したベビーケア製品を取り扱うブランドがローカライゼーションの際に最も気をつけた3つのポイントについて紹介します。

インドに限ったことではないですが、

①ローカル特有の課題特定 ②ローカル特有のブランドに対するエモポイントの ③インドトレンドビジュアルをしっかり入れる

この3つのポイントがよく意識されたのが、インドに上陸したベビーケアブランドです。

ターゲット国現地の特有の課題やブランドに対するエモーショナルを感じるようなストーリーラインを入れることは最も海外進出において注力されるべきところですが、

  • 舞台はインド

  • ベビーケア製品

という二つの軸に対してのアプローチに必要な事前知識をローカルの「家族至上主義」「母親 = 神様のような存在」「子供セントリック>しつけ」という根付いた文化を傷つけずサポートするようなシーンが多く組み込まれています。

https://www.instagram.com/reel/C8ouI5QSwVv/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==

また、より文化的な背景を認知したコンテンツの制作がとても重要とされる、「一歩間違えたらブランドを守れない」事態になりかねない事前知識もあります。

とても良い例が、母乳育児が最も大切とされるインドにおいて、「粉ミルクでの育児をプロモートしている」と思われるような製品の使い方やコメントはNGであることも、これらのコンテンツを見るとよく練り込まれていることが伺えますね。